RECOMMEND
RECOMMEND
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
CATEGORIES
ARCHIVES
MOBILE
qrcode
LINKS
PROFILE
OTHERS

09
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
--
>>
<<
--

ある伝説的隠居研究者の回想ブログ

農薬という言葉 最終章
 欧米先進国から、毎年、多数のペスティサイドの特許が日本に出願されて、欧米先進国で作成された和文の特許明細書が日本特許公報の農薬部門で公開されている。この場合のペスティサイドの訳語は、国や会社によって異なるが、「有害生物殺滅剤」、「殺滅剤」、「僕滅剤」、「防除剤」などの、欧米先進国製日本語が便われている。「農薬」と和訳した例は皆無である。欧米先進国では、日本人が「農薬」という言葉をペスティサイドの意味に使っていることは百も承知しているが、電話を電気の意味に使うような不見識にはついて行けないのだろうと想像する。
 PHP研究所の「歴史おもしろ話」に、明治初期は訳語、新語のラッシュで、この新語によって新しい文化や制度を導入して近代国家の基礎づくりをしたことが、例を挙げて説明されている。
「衛生」という言葉が誕生したのは明治八年で、その頃は厚生という言葉も健康という言葉もなかったそうである。それどころか、衛生行政の概念もなく「達者」とか「養生」の言葉くらいしか人々の頭になかった。この様な状態のなかから現在の衛生行政が構築されてきたのである。
 有機合成農薬は戦後導入された新枝術である。ペスティサイドの概念は戦後導入された新技術思想である。この文明の導入によって日本は食糧難を乗り越えて今日の発展を手にした。新語によい知恵がでないのならば、外国製日本語も導入してでも、概念の国際的整合をはかるべきであると考える。教育界、言論界識者の奮起を切望する。
| 農薬という言葉 | 09:13 | comments(0) | - | pookmark |
農薬という言葉 11
 輸出して富を蓄積するだけで、その富をアジアの食糧危機の救済活動に一切支出しない。その態度が、イスラムの教義を憲法より重視するパキスタン・イスラム共和国のブット首相には我慢できなかったのであろうと考えられるのである。
 賢明なる日本のマスコミはこの事を知らぬ筈はないのであるが、一犬虚に吠えて万犬これに和し、無農薬運動に走りだした以上、欧米先進国の嫉みのように解説せざるをえなくなったのであろう。国際化の時代にはいって、マスコミはもっと多角的に国際感覚を報道すべきであろう。
(開話休題)本論に戻す。
昭和五十年頃から、日本の英和辞典にPESTICIDEの単語を掲載するものが出ているが、残念ながら「有害生物穀滅剤」と訳している例はないようである。訳語はバラバラで、殺虫剤のみの意味になったり、殺虫剤と除草剤のみの意味になったりして統一が無い。農薬に関する情報を取る上で最も重要な単語であるから、文部省で統一すべきであると考える。 和英辞典で農薬をひくと、最初にAGRICULTURAL CHEMICAL(アグリカルチュラルケミカル川農業化学薬品の意味)と出てくる。しかし、この英語は、先に説明した通り、殺す機能を持たない性質の肥料と植物成長調節剤を指すので誤訳である。PESTICIDEが正しい。
 和英辞典には、AGRICULTURAL MEDICINE(農業治療薬?)とか、AGRICULTURAL PHARMACEUTICAL(農業医薬?)というようないろいろな英語が出てくるが、和製英語か、または、一般的な英語でないので使用しないほうがよい。PESTICIDE、HERBICIDE、(除草剤)GROWTH REGURATER、(植物成長調節剤)の三つを憶えておいて、どれに入るかを考えて使い分ける方がよい。さもないと、析角の見識が台無しになるおそれがある。
| 農薬という言葉 | 07:57 | comments(0) | - | pookmark |
農薬という言葉 10
 当時、パキスタンはインドと険悪な関係にあり、パキスタンを中国が支援していたので、その関係で中国人と紹介したのかと考えたが、何といっても不自然であり、その理由は現在も不明である。イザヤ・ベンダサン氏の「日本教について」によると、「エコノミックアニマル」の言葉の最初の言い出しっぺは、当時のパキスタン中央政府のブット首相だそうである。とすれば、当時のパキスタン中央政府の文部大臣は、付帯条件が多い日本の円クレジットに対して批判的であったことが想像されるわけであり、問題の発生を避けて、農林次官は敢えて中国からのミッションと嘘を言ったと考えられるのである。
 当時の日本マスコミは「エコノミックアニマル」の意味については明確な説明をせず、集中豪雨的な日本の輸出に対する世界各国の規制を求める声のように報道したが、パキスタンに関するかぎり的はずれのように思う。
 イスラム圏やキリスト教圏では、成功して金持ちになったものは失敗して財を失ったものに、自らが苦痛を感ずるほどに慈善の手を差し伸べる義務があり、その慈善の義務を果たした者のみが神の子として認めるという考え方があるといわれる。海外旅行で日本人を悩ませるチッブも、その慈善行為の一つの象徴であると考えられ、強制されるものではないが、自発的に出すものとされている。
「君子は財を愛す。それを得るに道あり」という論語の言葉は、日本人社会でよく引用されて、日本人の金持ちに対する社会的位置付けの基本になっているが、言うなれば、泥棒や詐欺を働いて奪い取った不道徳な財産でなければ、金持ちは抱え込んで居ろうが、贅沢三味で暮らそうが、他人に迷惑をかけなければそれでよいという感覚である。イスラム圏では銀行預金に利子がつかないように、金持ちが慈善行為をしないことは特に忌み嫌われる。サービスを受けてチップを出さないのと同様に非人間的行動になるのである。
| 農薬という言葉 | 07:53 | comments(0) | - | pookmark |
農薬という言葉 9
 ユネスコが「緑の革命」がスタートした昭和四十年に、「生涯教育宣言」をして、開発途上国に文明の導入を図ることが必須であることを訴えて、このために、先進国が開発途上国に新技術導入のための文盲追放の教育援助をすることを要請したが、新技術導入に対する反対運動は開発途上国でなくて日本で起こった。日本のマスコミは、二十世紀最大のアジアの壮挙として、アメリカの「月世界旅行」よりも世界的に注目された「緑の革命」を報道しないばかりか、朝日新聞やNHKは、先頭にたって「緑の革命」を妨害する無農薬運動を聞始したのである。
 宇宙船地球号の穀物危機脱出のために、国連を中心に世界が一丸となってアジアの稲作に肥料と農薬を導入すべく取り組んでいた間、日本のマスコミは、国民を世界の惰報から遮断して農薬反対の国民洗脳運動をしていた。これこそ「世界の非常識」である。
 昭和四十四〜四十五年頃だったと思うが、エコノミックアニマルという非難の声が世界の各地で起こった。その頃は、日本赤軍派によるハイジャック事件も世界各地に頻発して、海外出張でトランクがよく行方不明になった。世界各国で日本人のトランクは密かに検問を受けているとの噂があり、「緑の革命」に従事していると思いながら、何とも言えない一層身のせまい思いをして旅行した記憶がある。
 余談になるが、昭和四十四年頃にダッカの東パキスタン政府を表敬訪問した時、農林次官と農民の教育問題についてアイディアを話しているうちに親しくなり、その日の夜に開催される世界マンゴー博覧会の前夜祭に招待されたことがある。招待客は、会場の入口で農林次官の出迎えを受けて、居並ぶ議員や知事に紹介されたのち、会場を一巡して世界の珍しいマンゴーを試食して帰るシステムであったが、パキスタン中央政府の文部大臣と一緒に会場に到着してしまった。行きがかり上、文部大臣にも紹介されることになったが、農林次官は、私ら一行二人を中国からのミッションと文部大臣に紹介したのである。三人とも唖然として、そのまま無言の行に入ったことは勿論である。農林次官は何故日本人であることを秘匿したのだろうか。

| 農薬という言葉 | 07:56 | comments(0) | - | pookmark |
農薬という言葉 8
 ゴルフ場の芝生には農作物害虫が発生するので、当初から農薬が大量に使用されてきた。日本のゴルフ場は、「緑の待合」と呼ばれる。昭和三十三年頃に芝生化粧用の緑の染料の相談を受けて驚いたことがある。「ゴルフ場農薬」は、「農薬の廃棄場所」から「農薬のドル箱」までの別名がついていた。しかし、ゴルフ場の芝生は農作物ではないので農林省の管轄ではなく、さりとて、はえ、蚊、ごきぶり相手の厚生省の担当でもない。通産省管轄の噂だったが当事者能力が無いので、取締責任が宙に浮くことになった。昭和五十年代後半になって、農林省がやっと重い腰をあげて、ゴルフ場農薬が本格的に取締まられるようになった。
 ペスティサイドの言葉も概念も知らない日本人の農薬論の内容は、落語の「こんにやく問答」のようなものが多い。欧米諸国から批判を受けないで今日まで来たのは、英和辞典も和英辞典も誤訳だらけであるために、翻訳されることがなかったためだろうと考える。マスコミ文化人は農薬用語の理解がなく、肥料も農薬も同じ言葉で表現するので意味不明、これが、この国のジャーナリズムの姿であったのである。具体例で補足説明する。
 冒頭で述べたPESTICIDEは、農薬を語る上で最も重要な単語であるが、昭和五十年頃までの日本の英和辞典でこの単語を掲載している出版社は無かったと思う。欧米諸国では、合成農薬の社会導入期に、大勢の学者が筆を執って、農薬に関する哲学的啓蒙書が多数出版されたのであるが、日本では、農林関係者が官学一致して危険防止の宣伝をするのみで、戦後の虚脱状態の文部省は、未来を開くための啓蒙的社会教育や学校教育を軽視した。この手抜きが、昭和四十年代後半から五十年代にかけての、社会的大混乱を招く原因になったと考える。 

| 農薬という言葉 | 08:44 | comments(0) | - | pookmark |
農薬という言葉 7
「農薬」という言葉があるために、農業以外の分野で使われるペスティサイドは、厚生省管轄の防疫用殺虫剤を除いて、全て、無法地帯に野放しになったのである。「養魚用農薬」「ゴルフ場農薬」という言葉がマスコミに登場したが、こんな言葉は、農薬取締法上、存在しないことは明らかである。農薬取締法が適用出来ない地帯が発生していることを意味しているのである。
 日本の科学技術行政が分権管理の縦割組織になっている原因は、新技術に対する理解がないためである。新技術とは、本来、未知の新市場を創出することを目的とするものであるから、新枝術に対する技術行政は、未知の市場の出現に、迅速に対応出来るようにすることが重要なのであるが、日本の官僚は行政改革がきらいなようである。硬直した縦割行政は、新市場が出現するごとに混乱が起こり、ますます複雑な行政機構を生んで行くことになる。具体例を示す。
 はえ、蚊、ごきぶり、のみ、しらみ、などの衛生害虫に対する殺虫剤は、農作物を加害しないので「農薬」に入らない。それ故、厚生省が管轄している。例えば、スミチオン乳剤は農作物害虫と衛生害虫の両方に用いられるので、厚生省の管理をうけるものを「防疫用」と名付けて区別しているが、具体的には、迷惑な規格を付け加えているだけである。例えば、農業用スミチオンの濃度表示は重量基準で下限判定、防疫用スミチオンの濃度表示は容量基準で許容範囲判定。違いはこれだけである。海外取引の時に、まちがって損をしたり信用を失ったりしないように、新人を教育する手間が増えただけである。農薬を魚の病気治療に便用することは、養魚業者の公然の秘密であったが、魚は農作物でも畜産でもなく、また、厚生省の動物薬でもないところから、野放しが続いて環境汚染が危惧されていた。この問題は農林省が農水省に改名されて担当が明らかになったので解決したと思う。
| 農薬という言葉 | 07:45 | comments(1) | - | pookmark |
農薬という言葉 6
 この書名は出版社がつけたと青樹氏があとがきで書いているが、当時、輸出部員から、「「農薬」という言葉の意味を、日本人に理解させるために、カーソンが考えてつけた書名だと聞いたがどんな意味ですか」と、質間された記憶がある。「人間に生を与え、有害生物に死を与える、不思議な薬」という意味だろうと考えたのであるが、この言葉は合成農薬探索研究の基礎理論になっている「選択毒性」の思想を巧みに象徴していると思う。 このカーソンから贈られた素晴らしい言葉は、マスコミ人に注目されることはなかった。私はテレビ番組に、「生と死の妙薬」という言葉が登場することを待ち望んだのであるが、私が見たかぎりでは、一遂に、一度も登場することは無かった。「沈黙の春を読んだ」「静かな春を読んだ」という表現ばかりであった。本当に読んだのかという疑問が残ることがあった。カーソン女史は自然科学者であると同時に、アメリカペンクラブ会員であったので、サイレントスプリングは難解な術語の入った格調の高い文章であった。
「生と死の妙薬」という書名は、何年後かわからないが、遂に、書名を変えた。現在、「生と死の妙薬」の書名を確かめるためには国会図書館へ行くしかない。
 新しい科学技術を創造して発展してきた欧米先進国では、新技術の命名や分類には技術の目的や機能を中心に考えるが、技術導入で発展してきた日本は、製品を売る市場と市場を管轄する官庁が問題になるので、そこを中心に考えることになる。「農薬」という言葉はその一例である。
| 農薬という言葉 | 12:58 | comments(0) | - | pookmark |
農薬という言葉 5
 あえて、欧米先進国の考え方と関連づけるとすれば、「農薬」とは、ペスティサイドの農業専用部分と、農業薬品の植物成長調節剤と、生物に属する天敵の、混成軍ということになる。
「農薬」という言葉の定義は、農林省の管轄範囲を熟知している日本人には非常にわかりやすい定義であるが、日本の官僚機構を知らない外国人には、とうてい理解出来ない定義である。それ故、農林省または日本政府は、「農薬」の新語を作る時に、ペスティサイドに相当する「新しい日本語」も同時に作るべきであったが、その努力を怠ったために、「農薬」という言葉が、ペスティサイドに相当する言葉として用いられることになった。比喩的にいうと、電話という言葉を定義する時に、電気という言葉も同時に作るべきであったのに、電気という言葉を作らなかったために、電話という言葉が、電気の意味に用いられることになった。これでは電気理論を理解出来ない。ラジオもテレビも電話と呼ぶことになる。
 日本語には「農薬」という言葉しかないために、日本には、ペスティサイドにつらなる「選択毒性」の思想が伝えられなかった。学校もマスコミも政府も「選択毒性」の思想に気付くことなく、学校教育や社会教育を推進したために、日本は国を挙げて「農薬」に対して、「常識を非常識」、「非常識を常識」とする、不可解な考え方をする国になったのである。昭和三十七年にアメリカで出版された、レイチェルカーソンのサイレント スプリング(SILENT SPRING)は、昭和三十九年に青樹氏によって邦訳されて「生と死の妙薬」という書名で出版された。

| 農薬という言葉 | 07:55 | comments(0) | - | pookmark |
農薬という言葉 4
 菊の矮化剤、梨や林檎の摘果剤、たねなし葡萄用のジベレリン、たばこの脇芽防止剤のような「生理機能の増進または抑制に用いられるもの」は、植物成長調節剤(グロースレギュレーター)と名付けて独立したグループにしている。殺す薬剤ではないので肥料のグループに入れて、農業化学薬品(アグリカルチュラルケミカルズ・AGRICULTURAL CHEMICALS)と総称している。肥料は生埋機能の増進をする化学薬品であることからこのほうが合理的である。以上が欧米先進国における考え方である。機能によって分類されていることが解る。
 日本語に「農薬」という言葉が誕生したのは、農薬取締法が割定された昭和二十三年である。
この農薬取締法に「農薬」の定義が示されているのであるが、概念的に要約すると、農薬とは農林省が管轄する薬剤のことで農作物に使用するものに限られるものになる。具体的には、「農作物を対象にする有害生物殺滅剤」と除草剤と植物成長調節剤に天敵を加えたものであるが、農林省が管轄する範囲内に適用がとどまると明記されている。つまり、「農薬」という言葉は、農林省が農林省のために作った農林省内部の行政用語で、欧米先進国のペスティサイドの概念は全く考慮されていないことが解る。
| 農薬という言葉 | 08:20 | comments(0) | - | pookmark |
農薬という言葉 3
 即ち、ペスティサイドとは、有害生物を殺す薬剤の総称で、具体的には、殺菌剤(ファンギサイド、FUNGICIDE,FUNGUS=かび、バクテリオサイド、BACTERIOCIDE,BACTERIA=菌)、殺虫剤、(インセクティサイド、INSECTICIDE,INSECT=昆虫)、殺線虫剤(ネマトサイド、NEMATOCIDE,NEMATODA=線虫)、殺だに剤(マイトサイド、MITECIDE,MITE=だに)、殺鼠剤(ローデンティサイド、RODENTICIDE,RODENT=げっし類)などが含まれる。
 除草剤は有害草本を殺す薬剤であるが、ペストの語源を考えるとわかるように、正統的な意味ではペスティサイドに入らない。ハービサイド(HERBICIDE,HERB))といって独立のグループにしていたが、最近の教科書ではペスティサイドのグループのなかに入れるように変化してきた。語尾にサイドがつくものはペスティサイドのグループと考えてよいようである。
| 農薬という言葉 | 08:58 | comments(0) | - | pookmark |