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ある伝説的隠居研究者の回想ブログ

自然に学ぶ 最終章
 この思い出の手がかりを与えたものは、ピラミッドの裏手の砂漠であった。
 三年前に家内と海外ツアー旅行に参加してエジプトを訪れて、ギゼーのピラミッド見物に行った。一人、裏手に回って、確かこのあたりと思って、一握りの砂を握って観察したが、粒はもろくて、全然、出来の良い粒剤ではなかった。
 ただの砂の集まりに過ぎず、微粒剤開発のヒントになったことが、信じられない思いがした。
 自然に学べといっても、その前に、溺れるものは藁をも握むという気持ちが前提としてあるようである。
| 自然に学ぶ | 06:39 | comments(0) | - | pookmark |
自然に学ぶ 8
 初年度は、十数品目が登録許可されたが、六○パーセントは住友ブフンド品であった。系統メーカーは、一社あたりにすると品目数が少なくて採算がとれないという理由で、寿化成が殆ど全国のメーカーの工業生産を一手に引き受けた。
 誰にでも、一つや二つの血湧き肉踊る思いがした若き日の思い出があると思うが、私にはこの思い出が、製剤研究をしていた頃の思い出のなかで一番強烈である。共同研究の総決算のような気がするからである。各界の垣根をとりはらって、各分野の最高水準の技術を結集して、新製品を一気に創造すること、これが、農棄の製割研究を始めるとき描いた夢だった。共司研究といっても一度も会議をしたことはなかった。殆ど電話だけで完成したのも愉快な思い出である。
| 自然に学ぶ | 06:40 | comments(0) | - | pookmark |
自然に学ぶ 7
 散布実験データは農業機械化研究所の武長主任研究員が引き受け、医学的なデータは東京歯科大の西村教援が率いる衛生学教室が支援することになった。製造法の工業化実験は業界トップの寿化成が引き受け、特定粒度分布の鉱物粉末の供給は関東の名門といわれるフバサミクレーが責任を持ってひきうけた。広島県にも生産拠点と原料供給拠点を確保した。効力試験は、普及部が全国を駆け回って各県の農業試験場を口説き落とし、一年で完全なデータが揃う見通しがついた。夏だったので、今年も未だ効力試験が出来るということになり、海外開発部の要員を研修の名目で各国から掻き集めて、実験装置で試供サンプルを作り、試験を引き受けた全国の農業試験場に発送した。これが、一時、全国的騷ぎになった徴粒剤騒動の内幕である。
 微粒剤の実用化は、この後、品質規格の設定の問題や、殺虫剤の効力問題が特ち出されたりして一年ほど遅れたが、一応、徴粒剤と命名されて登録許可になった。
| 自然に学ぶ | 10:08 | comments(0) | - | pookmark |
自然に学ぶ 6
 すなわち、全農研研究部は、一年ほど前から、傘下の系統メーカーを総動員して、稲作用トップドレッシング剤の製造法の検討と圃場試験を始めた。目的は、粉剤ヘリコプター散布による粉塵の飛散が民家に迷惑をかける事故を防止することにあるが、これと同時に、へリコプター散布の営業分野を全農が独占することになるだろう。八州化学はその幹事役を受けてしまったので相談に乗れないという話であった。
 早速、平塚の全農研究部へ行き総括責任者とみなされる上島俊治氏に確認したところ、その通り、あと一年で実現するとの返事であった。ヘリコプター散布の営業分野を失えば大変なことになる。全農と対決する決意で、こちらも共同研究体制を作ることにした。
 共同研究体制は一週間で完成した。染め物屋が作ったサンプルを待参して、エジプトで考えた練りこみ法の能書きを並べたところ、皆、二つ返事で乗ってきたのである。
| 自然に学ぶ | 08:50 | comments(0) | - | pookmark |
自然に学ぶ 5
 帰国して、早速、担当の染め物屋に話したところ、数回の実験で見当をつけてしまい、仁丹の丸剤のように堅い粒剤を持参した。かつての染め物屋も、その頃は業界の実力者に成長していた。お茶の子さいさいだった。
 一応、国内持許申請と開発途上国に優先権出願をしたのち、何処かの商品見本市に出品したところ、共産圏から引き合いが来たので、ソ連に初めて特許出願した。特許制度はなかったが、最高技術会議が検討するということだったが、製造案件を細かく調べるので、中止したところ、引き合いも消滅した。
 トップドレッシング剤の大量生産法の見通しがついたが、第一次中東戦争が勃発してアインシャム農科大学との共同研究は沙汰止みになった。国内市場に需要がないかと考えて、八州化学に相談を持ちかけたところ、寝耳に水の情報を聞いた。
| 自然に学ぶ | 08:11 | comments(0) | - | pookmark |
自然に学ぶ 4
 暇が出来たので、気情らしにアメリカンエキスプレスのガイドを雇ってギゼーのピラミッドを見に行くことにした。砂漠に立って、石川啄木よろしく一握の砂を掴んでじっと手を見てアッと驚いた。なんと、砂漠の砂は、一見、砂利のように見えるが、よく見ると大部分は造粒体なのである。あの広漢たるエジプト砂漠は、実は、天然の自動造拉機で、太古から、トップドレッシング粒剤を大量生産していたのである。
 太陽熱と少量の水の存在下で、ある粒度分布の砂の粉末が風に吹かれて転動するうちに、核のまわりに最密充填が起こって、転動による肥大と、摩擦による縮小を、無限に繰り返して、全体一が定の大ささの粒子に収斂する、という砂漠の粒剤製造工程が、一瞬閃いた。砂漠の砂の製造条件を調べれば、造粒法で世界一安あがりの大量生産法が発明出来るわけである。
| 自然に学ぶ | 15:30 | comments(0) | - | pookmark |
自然に学ぶ 3
 吸収法にはベントナイトがよいが、アルカリ性なのでスミチオンの場合は、分解が起こるので使えない。けいそう土かそれに似たものになるが、一般にアルカリ性か分解性のものが多い。エジプトで生産させるとなると不安が残る。
 コーティング法は、散布の時に、粒の表面に接着している原薬の剥離が起こりやすい欠点がある。散粒機を上に向けると粒剤に対する機械的衝撃が大きいのでその危険がある。 この様に考えると、練りこみ造粒法が良いことになる。練りこみ造粒法とは鉱物性粉未に原薬や水や接着剤を一緒にして混合、練りあげ、造粒機にかけて造粒したのち、乾燥、ふるい分けして製造する方法である。医薬業界でよく使われているが、この方法の欠点は、製造コストがかかり、造粒機がネックになって大量生産が困難なことである。
 品質特性からは、練りこみ法が良いと考えられるが、製造コストが何倍も高ければ諦められざるを得ないのであるが、何か良い方法がないかという思いは頭から去らなかった。
| 自然に学ぶ | 10:21 | - | - | pookmark |
自然に学ぶ 2
 この様な目的の粒剤はトップドレッシング粒剤と呼ばれている。公知の方法によるトップドレッシング粒剤の大量生産法は難しい問題ではない。原薬が液体ならば、けいそう土やベントナイトのような吸油力のある鉱物を粉枠して、ふるい分けた粒体か、または、粉末を造粒機にかけて粒体にしたものに原薬をしみこませれば良い。
 吸収法とか吸着法と呼ばれる方法である。
 原薬が固体ならば、珪石や大理石を粉砕してふるい分けて、適当な粒径のものを集めて、粒の表面に原葉の粉末を接着剤でくっつける方法で出来る。 この方法はコーティング法と呼ばれる。
 この二つの方法が安上がりで大量生産にも適しているので、世界の農薬業界では、殆ど一○○パーセントどちらかの方法が使われている。
 それ故、この二つの製法で、鉱物の種類を変えて試作品を作り供試すればよいことになるが、これではあまりに芸がない。
 例によってへそ曲りの考察をやってみた。
| 自然に学ぶ | 11:48 | comments(0) | - | pookmark |
自然に学ぶ 1
 第一次中近東戦争の前年だったと思う。カイロのアインシャム農科大学を訪問した時、現地のきび用の特殊粒剤開発の共同研究の申し入れを受けた。
 きびには稲の二化めい虫とよく似た害虫がいて、幼虫が茎のなかに食い込んで加害する。これの防除法を研究したところ、茎から葉が分かれて出る割れ目の所に、スミチオンの粒剤を数十粒載せると有効な事が判った。
 しかし、これを手作業ですることは大変な労力がかかるので、散粒機できびの頭の上から散布することを検討したが、粒剤の粒径が大きいので転がり落ちる。粉剤でも有効であるが、きびはニメートル以上の高さがあるので、散粉機を上に向けて撒くと、漂流するので好ましくない。
 粒剤と粉剤の中間のつぶの大きさの新しい粒剤の大量生産法を開発してほしい。試作品の効果試験はすべて大学で引き受けるというものであった。
| 自然に学ぶ | 14:23 | comments(0) | - | pookmark |